エリウド・キプチョゲ選手が2018年9月16日に行われたベルリンマラソンで世界記録という快挙を成し遂げました。
これまでの世界記録を1分以上も短縮し、2時間1分39秒という前人未到の2時間1分台を叩き出しました。
誰もが夢見る数字を出したエリウド・キプチョゲ選手ですが、気になるのは練習トレーニングの内容やシューズ選びではないでしょうか。
では、エリウド・キプチョゲ選手の
- 練習トレーニングの内容
- 使用しているシューズ
- 考え方
について調べてみましょう。
キプチョゲ選手の練習トレーニング内容
エリウド・キプチョゲ選手は2017年のベルリンマラソンでも2:04:17というタイムで優勝しているのですが、それに至るまでの40日間の練習トレーニングの内容を公開しているんです。興味深いですね。
どのようなメニューをこなしているのでしょうか、その一部を見てみましょう。
- 8月10日(木):午前ー30.8km、午後ー簡単に10km
- 8月11日(金):午前ー16km、午後ー簡単に10km
- 8月13日(日):午前ー22kmのみ
このように、午前と午後に分けてジョギングする日もけっこうあるようですね。
みやぞんみたいにガッツリ100kmくらい毎日トレーニングしているのかと思いきやそうではなく、これなら少し頑張ればできそうだと感じた方もいるのではないでしょうか。
キプチョゲ選手も日曜日は午前中にサッと22km走って午後はオフなのかもしれません。
- 8月12日(土):午前ーFartlek(ファートレック)走:ウォーミングアップ1.9km(10分)。10分間のスピード走と2分間のスロージョギングを4回リピート。その後クールダウン(15分間)。午後ー12kmを50分で。
- 9月16日(土):午前ーFartlek(ファートレック)走:ウォーミングアップ2km(10分)、2分間のスピード走と1分間のスロージョギングを10回リピート。その後クールダウン(15分)
キプチョゲ選手は「Fartlek(ファートレック)走」を取り入れていることが分かります。
ファートレック(Fartlek)とは、スウェーデン語で「ペース(fart)で遊ぶ(lek)」の意味。
ペースを変えながら遊ぶように走るので、ファートレックと呼ばれるそうです。
基本的には、高負荷なスピード走と回復を目的としたジョギングを交互に繰り返します。
全力疾走と休憩を繰り返すインターバル・トレーニングと似ていますが、ファートレックの特徴は、スピード走のペースが毎回変わることと、休憩の代わりにジョギングで常に走り続けること。
例えば初回は全力疾走し、次は50%、その次は70%、というように負荷のレベルを変えていきます。(引用:TOMO・RUNより)
確かにキプチョゲ選手も日によってFartlek(ファートレック)走の内容を変えていますよね。
- 8月14日(月):午前ー21km(70分程度)フラットコース(主に道路)
午後ー10km簡単に(40分) - 8月17日(木):40kmのテンポラン(泥などのある悪路を2時間26分)
- 8月24日(木):午前ー30kmテンポラン(波打つコースを1時間30分)
このように、日によって路面状況の異なるコースでトレーニングしていることが分かりますね。
通常マラソンコースは整備された道路を走りますが、それでも悪天候などによって影響を受けることがあります。
実際2018年4月のロンドンマラソンの時は雨が降っており、キプチョゲ選手は路面が滑りやすかった事について次のようにコメントしています。
5km過ぎで世界記録の更新は難しいだろうと思っていた・・・路面がたくさんの水たまりで濡れていたのを見て… その時が、世界記録の更新が難しいことを悟った時だった(LetsRun.com Japanより引用)
いかなるコンディションの路面でも最高の成績を残せるよう日々の練習トレーニングの中にも様々な路面でのランを取り入れていることでしょう。
使用しているシューズ
エリウド・キプチョゲ選手はナイキとスポンサー契約しています。ですから彼が使用するシューズも当然ナイキです。
毎日同じシューズではなく、ローテーションでシューズを選んでいるとのこと。では彼はどんなシューズを履いているのでしょうか。
以下の4つのシューズがキプチョゲ選手が使用しているシューズとして紹介されていました。
- ナイキ ズーム ヴェイパーフライ エリート
- ナイキ ズーム ヴェイパーフライ エリート フライプリント
- ナイキ ズーム ペガサス ターボ
- ナイキ エア ズーム ペガサス 35
このうち日本でも入手可能なのは後半2つです。
ナイキ ズーム ペガサス ターボ
(ナイキ) ズーム ペガサス 35 ターボ メンズ ランニング シューズ Nike Zoom Pegasus 35 Turbo AJ4114-060, 27.0 cm [並行輸入品]
このシューズについてキプチョゲ選手はこうコメントしています。
このシューズに搭載されたフォームによって筋肉の回復が本当に速くなると考えているので、長距離練習には主にナイキ ズーム ペガサス ターボを履いています。
このシューズはとても軽量で、グリップ力も高く、しっかりとしたタイヤのように足の裏でしっかりと地面をとらえることができます。
40kmのランニングは長距離ですが、それでも筋肉は良い状態で終えることができます。少し痛くなることもありますが、簡単に回復できます。(月間陸上競技より引用)
ナイキ エア ズーム ペガサス 35
ナイキ(NIKE) ズーム ペガサス 35(ブラック/オイルグレー/ガンスモーク/ホワイト) 942851-003 003 26.5cm
このシューズについても彼はこうコメントしています。
金曜日は回復に充てる大切な日です。40km走った後は軽めのジョギングにしておかないといけません。
前日の練習で筋肉がとても疲れているのですが、このシューズは軽量で筋肉も足も守りながら楽に動けるようにしてくれます(月間陸上競技より引用)
シューズ選びにはどの選手も細心の注意を払っていますが、それでもアクシデントが発生することがあります。
キプチョゲ選手もシューズアクシデントに泣かされた一人です。
2015年のベルリンマラソンでのこと、レース序盤にインソールが外れてしまい、シューズの外に飛び出した状態で走らざるを得ませんでした。
その状態でもキプチョゲ選手は2:04:00というタイムで見事優勝しています!すごいですね。
彼はこう語っています。
インソールがとれてしまったけど、それをはずす暇がなかった。ソールなしで走ると足への負担が大きくなるし、1歩ごとに痛みがある(LetsRun.com Japanより引用)
もしインソールのアクシデントがなければ、2015年に世界記録を更新していた可能性もありますよね。
考え方
エリウド・キプチョゲ選手は考え方、取り組み方についてこう語っています。
レース当日に良い走りをしたいなら、日々の練習の中で自信を築き上げなければなりません。
走るたびに、なぜ全力でがんばっているのか思い出すようにしています(LetsRun.com Japanより引用)
先ほど紹介したキプチョゲ選手の練習トレーニングのメニューを見てもそれがよく分かります。
自信を築き上げるため日々明確なトレーニングに取り組んでいるんですね。
キチンとゴールを設定し、それに向かって日々着実に努力しトレーニングを重ねる・・・
キプチョゲ選手の取り組み方は、アスリートだけではなくビジネスマンでも参考になる考え方ではないでしょうか。
まとめ
エリウド・キプチョゲ選手は「Breaking2(2時間切り)」というナイキのプロジェクトに参加しています。
先ほど紹介した考え方からしても、キプチョゲ選手がサブ2(2時間を切ること)を達成する日もそう遠くはないと言えますね!